夫婦でバイク店を営んでいたAさん。
経理についてはある会計事務所の職員Bに
すべて任せていた。
すると、とんでもないことが発覚した。
その職員Bが3千万円ほど
Aさんのお店の経理をごまかし
横領していたのだ。

おどろいたAさん。
Bを問い詰めた。
するとさらに余罪が発覚。
他のクライアントからも
総額1億円の被害があったのだ。

Bは会計事務所を退職したが
被害者はBに返済を求めた。
窮地に立たされたBは
「フィリピンで自殺するから
オレに生命保険をかけておいてくれ」
と言い残し、フィリピンに旅立った。

Aさんを含め、
被害者はBに生命保険をかけて
受取人になった。

ところがB、
フィリピンで自殺できず、
帰国した。
そしてAV専門のビデオレンタル事業を始めた。
それが大当たり、大儲けした。

被害者たちは返済を求めたが、
Bは返済を渋った。

そこでAさんは
「ではAVレンタルビジネスを教えろ」と
Bからビジネスノウハウを学び、
自身で事業を始めた。
これで、3千万の損失をカバーしようと考えた。

事業は順調にスタートした。
チラシを周辺地域にまき、
顧客も増えてきた。

ところが、チラシをみたヤクザが
Aさんに迫ってきた。
「オレたちのシマでなにやってんだ」
ということである。
困ったAさんはビジネスノウハウをもつ
Bを紹介することにした。

ヤクザ2人(兄弟だったらしい)を車に乗せ
AさんはBのいる事務所へ案内した。
Aさんは車で待機し、
ヤクザふたりがBと交渉し終え
帰ってくるのを待った。

しばらくしてやくざ二人が帰ってきた。
ところが、二人の服は血で染まっていた。
「Bを殺してきた」
「はっ???」
驚いたAさん、すぐさま車を発進し、
離れたところまでやくざ二人を移送し、
そこで降ろした。

しばらくして
ヤクザふたりは逮捕された。
ところが、このふたり
おそらく、口裏を合わせていたのだろう、
警察の取り調べでとんでもない供述をし始めた。

「Aさんから1千万円をもらって
Bの殺人を依頼された」と。

当時のAさんに1千万円の大金はもちあわせていなかった。
しかし、状況証拠はそろっていた。
3千万円の横領による損失。
Bさんにかけていた生命保険。
動機は十分、しかもヤクザには殺す動機は見当たらない。
さらにやくざ二人の供述は完璧に符号が一致していた。

Aさんは殺人の主犯として起訴され、
懲役14年の刑を言い渡された。

控訴を考えたものの、
控訴するには
量刑不当か新たな証拠が見つかるしかない。

Aさんには新たな証拠を見出せるほどの余裕はなく、控訴をあきらめた。

Aさんは14年の刑に服した。

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