【春の恋歌④】
~ほととぎす~
いにしえの
恋歌うたう ほととぎす
君のゆくへを 風にまがえば
「まがえば」は「見失う」の古語
ほととぎすは5月の季語ですが、
追想の暗喩にも使われます。
花橘と対で使われると
ほとんど追想の暗喩ですね。
花橘も追想の暗喩でもあります。
古今和歌集のこの歌が元です。
「五月待つ
花橘の香をかげば
昔の人の袖の香ぞする」
この歌をもとにした与謝野晶子の歌がこれです。
「橘も
恋のうれひも 散りかへば
春を懐かしみ ほととぎす鳴く」
さすが、与謝野晶子。
古今和歌集の歌を元歌にして
いろっぽい恋歌に仕上がってます。
歌の鑑賞も元歌を知ると
また違った味わいがあります。