加害者家族支援をしているNPO法人ワールドオープンハート理事長の阿部恭子さん。
連座制という社会風土が連綿と横たわる日本社会の中で、犯罪者が出たら、その家族もろとも罰を受けるのが当然といった風潮の中、加害者家族への支援は理解されがたく、必然的にバッシングも受けるらしい。
曰く、「犯罪者を出した家族にも責任があるではないか」。
それでも阿部さんは加害者家族への救いの手を差し伸べる活動をしていらっしゃる。
加害者家族支援は、当然の帰結として、加害者本人とのつながりも生まれる。
千葉県野田市の少女虐待死事件。
上級国民と世間からバッシングを受けた池袋交通事故。
その他、世間の耳目を集めた重大事件のその渦中に、
阿部さんは当事者である加害者家族の中に飛び込んでいる。
阿部さんにはずいぶん、影響を受けた。
自らの価値観を社会にぶつける。
批判を受けても、それでも、自らの価値を社会で創造しようとする。
加害者家族支援の先には、加害者本人へともつながっていく。
犯罪者、あるいは殺人者、そして死刑囚。
血と罪に汚れたその手を阿部さんは握りしめる。
ささくれだったその手はおそらく、握りしめる本人をも傷つける。
それでも、彼女は、その手を握りしめる。
まるで、その先に、ぬくもりを、いつか通じ合える何かを信じているように。
ひどく残酷な現実を直視しながらも、そこからみえる視野は愛に満ち溢れている。
阿部さんの活動には勇気づけられ、救われてもいる。
孤独と絶望の暗闇を照らすのは、いつだって、愛と希望の光度だけだ。