カテゴリー: 元受刑者支援活動

  • 実は・・・実話⑥-11

    A君が移送された先は福岡拘置所、
    しかもC棟3階であった。
    C棟3階とは独居房であり、
    A君は接見禁止を言い渡されていた。
    接見禁止とは弁護士以外、
    誰とも会えないことであり、
    家族との手紙のやり取りも禁止されていた。
    つまり1日だれとも話せない日々が
    結局6か月間続いたのである。

    さて、C棟3階が独居房の階であることは
    つまり、死刑囚もその階にいるわけである。
    A君の階には北九州市で連続殺人の罪で死刑が確定した
    松永死刑囚がいた。

    松永はすでに気がくるっており、
    髪は伸び放題、
    部屋の前にはついたてがおかれ
    外部からは見えないように遮断されていたが、
    自傷行為防止のため、ビデオカメラが設置され
    1日中監視されていた。

    この階は幽霊が出ることが噂されていた。
    実際、A君は何度も金縛りにあった。

    A君、血液検査の結果、
    軽度の糖尿病と診断され、
    1日1000キロカロリーの
    (成人男性の場合、平均2000キロカロリー)
    糖食を供されることになった。

    A君、1日誰とも話ができない状態が
    その後6か月間続くのであるが、
    このことがのちにA君の生活習慣、
    人生観を大きく変えることになる。

    さて、1日誰とも話をしない生活が6か月間続くとどうなるか?
    その内的変化についてはまた、のちほど。

    To be continued・・・・

  • 実は・・・実話⑥-10

    さて、A君、刑事の執拗な取り調べ、
    「Aさん、いっしょにMをやっつけようや、
    あいつが一番悪いいんやろ?」
    「思い出せんかったら、絞りだせ」
    というセリフに結局折れてしまった。

    A君からすれば自分が暴力団組長Mに関する
    なんらかの有罪に持ち込む供述をしないと
    自分がMをかばっているようにも思われるのもしゃくだし
    かつ、それが正義だと思うようになった。

    そして、結局、暴力団組長と
    「生徒が休んだ場合、出席をごまかすこともできる」
    という会話をした、と供述してしまった。

    しかしA君、その後も逡巡する。
    「事実でもないのに、あんな供述していいのか?」と。

    悩んだ末に
    検事に対して素直に申し伝えた。
    「いや、検事さん、久留米のファミレスでMと会った時には
    久留米と嬉野で教室を開催することしか話さなかった」
    「そこで出欠をごまかすという相談はなかった」と。

    実際、A君は教室開催後、
    生徒の出席があまりに悪いので
    困りきって教室責任者に
    「遅刻は大目に見るが、欠席をごまかすことはできない」とメールで送っていたからだ。
    このメールが後に裁判で重要な証拠となる。

    しかし、取り調べの検事、
    顔を真っ青にして
    「いや、Aさん、いまさらそういっても困る」
    「そんなこといわれたら、
    いままでの供述のすべてがおかしくなるじゃないですか」

    「いやね、Aさん、
    Aさんが暴力団の仲間とは全く違う流れにっていることはわかってるんですよ」
    「Aさんが集めた生徒の出席はいいし、
    かつ、あなたが生徒に対して『欠席をごまかしてもいい』という発言を一切していないこともわかっている」

    「Aさんと暴力団の組織的な動きとは全く違うので
    それを同じにすることはない」

    ここまでいわれると
    (じゃあ、組長のMを有罪に持ち込む証言をしたら求刑は軽くなるのかな?)
    とA君は思ってしまった。
    ところがのちに検事はとんでもない求刑をするのだが・・

    A君、連日8時間に及ぶ取り調べ、40日間の生き地獄を経て
    拘置所に移送になった。

    しかし、A君が移送された拘置所は
    まさしく幽霊が出ることで有名な福岡拘置所、
    そのなかでも最悪のC棟3階であったのだ

    To be continued・・・・

  • 心理カウンセラー諸岡さんとの出会い

    佐賀県内で心理カウンセラーとして活動していらっしゃる諸岡さん。
    諸岡さんとの出会いは知名弁護士のご紹介で昨年末、居酒屋でお会いした。
    諸岡さんは非行少年の心の回復プログラムも実践しているそうだ。
    私は元受刑者の社会復帰のためには
    心の回復、あるいは修復が必要だという考えを持っていますが、
    幸い、知名弁護士の紹介で
    諸岡さんとお会いすることができた。

    また、昨日もファミレスで再開し、
    いろいろお話したところ、
    諸岡さんとは知名弁護士のご紹介以前に
    ある異業種交流会で会っていたことが分かった。
    不思議なご縁だな、と思う。
    おそらく会うべくして会ったのでしょう。

    諸岡さんも私も
    罪を犯した人の社会復帰のためには
    「心の回復、修復が必要」という考えです。

    元受刑者を
    罪を犯した人を自分とは峻別し、
    「モラルが欠落した人」とみなし、
    説教する、か遠ざけるかというのが大方の態度そのものが
    間違っているという立場です。

    私が今まで出会った「ちゃんと社会復帰した元受刑者」の人たちの多くが
    罪を犯した原因を自分の生い立ちから見つめなおし、
    心の回復という内的プロセスを経ていました。

    立命館大学の森久教授にいわせると
    罪を犯すという結果に至るまでには
    「本人の特性のみならず、その置かれている状況、
    文脈、他者との関わり等、
    多様な要素が偶然(不幸)にも
    絡み合った結果として、
    本人は犯罪という「現象」に至るのです。」

    単純にモラルの欠落が犯罪にいたるわけではなく、
    さまざまな要因が絡まりあっており、
    そのなかでも
    心の病んだ部分、傷んだ部分、小さな闇、
    そうしたメンタル部分での修復、回復が
    罪を犯した者の再起のための
    必須要件であると考えており、
    かつそうした認識を社会が持つべき、と考えています。

    そういう立場に立っていますので
    相手の内面を見ずにして
    安易に説教するという態度はすべきでないと考えます。

    諸岡さんとも
    そうした罪を犯した人の再起のためには
    メンタル面でのケアが必要という考えで一致しており、
    今後は諸岡さんと協力して
    非行少年、元受刑者の社会復帰のための活動を
    行ってまいりたいと考えております。

  • 実は・・・実話⑥‐2

    久留米の「地元有力者」として
    紹介されたMの意向により
    久留米と嬉野で
    パソコンとファイナンシャルプランナー
    についての教室を開校することとなり、
    A君は開校手続きのため
    各種書類を作成し、
    またカリキュラムをつくり
    講師を集め始めた。

    久留米校の教室責任者はX、
    嬉野校の教室責任者はYであった。

    XとYは教室の場所を確保し、
    生徒を募集した。

    教室運営者には生徒一人月額6万円が国から入り、
    講師を務めるA君には講師料として月額20万円が
    各教室から支払われることになっていた。

    A君はXとYの要請により、
    応募してきた生徒に
    授業の内容と要綱を説明した。

    そこで、のちに問題となる要綱について
    「受講中の6か月間、
    収入がない人については
    月額10万円ほどの生活給付金が出るが
    ただし、出席が8割以上ないとダメ」
    という説明をした。

    このことが後にA君の運命を大きく狂わせることになる。

    23年1月開講を目前にして
    嬉野校の教室責任者であるYより
    A君に電話が入った。

    「Aさん、佐世保からの連中が生徒になるけど
    あんまり真面目じゃないから、
    大目に見てほしい」

    Aさんはてっきり
    佐世保から嬉野までくるので
    遅刻が多いんだろうと思い
    「よかよ、少しくらいはよかけん」

    実は国の制度では遅刻も欠席扱いにしなければならない。
    しかしA君はせいぜい10分程度の遅刻だろうと思い、
    そのくらいだったら出席扱いでもいいだろうと思ったのだ。

    さて、開校初日、
    久留米校も嬉野校も30人全員出席した。

    しかし翌日から出席生徒は5~7人程度に減ってしまった。

    to be continued・・・・

     

  • 実は・・・実話⑥-1

    佐賀県内に住むA君。
    平成23年当時、パソコン教室の講師を務めていた。
    厚労省が実施していた就労支援事業の一環で
    就労を希望する人たちに職業スキルをつけさせ
    また、受講中、生徒は一定の要件を満たせば、
    生活給付金を受給できるという制度だった。

    そしたら、嬉野市に住むY君から
    「Aさん、久留米市のある有力者で
    パソコン教室を新たに開きたい、という人がいるんだけど
    会いませんか?」
    と誘いを受けた。

    そこで、A君、Y君の紹介で久留米でM兄弟とあった。
    Y君の紹介ではMさんは「久留米の地元有力者」
    ちょっと雰囲気が
    「ちょいワル」風だったのが気になったが
    久留米の中小企業経営者には
    こういう雰囲気の人も多いので
    A君は特に気にせず
    M兄弟に厚労の就労支援事業について
    説明した。
    そこに同席していたM兄弟の部下と思える2人が
    久留米と嬉野でファイナンシャルプランナーとパソコンを教える就労支援の教室を開くことで話がまとまった。
    時は平成22年の8月、暑い日の昼下がりだった。

    to be continued・・・・

  • 実は・・・実話④

    【実は・・・実話④】

    A君は妻と娘二人をもつ普通のサラリーマンだった。
    一部上場の飲食サービス業のエリアマネージャーを務めていた。

    順調に見えたA君にも夫婦生活に陰りがみえた。

    奥さんが女性を愛するようになったのだ。
    つまりレズである。
    奥さんは女性を愛するようになり、
    必然的にA君との性交渉はなくなった。

    シャレにしてはいかんが、
    レズになったらレスになったという・・・

    もともとA君、高校時代はファンクラブもあったくらいもてていた。
    それが、奥さんから相手にされなくなったのだ。
    男女であろうと性的な部分を否定されると自尊心が傷つく。

    レス状態に耐えきれなくなったAくん、
    こともあろうか、
    女子社員寮に侵入し、
    狙った女性社員に
    強制わいせつにいたってしまった。

    不法侵入と強制わいせつの罪で
    4年の実刑。

    怒り心頭の奥さん、
    A君の面会では
    A君を罵倒した。
    何も言い返せないAくん、
    涙ながすしかない。

    さらに、性犯罪者の父を持つ娘のことを考え、
    A君は離婚し、娘は母親の姓を名乗ることになった。
    A君は家族をなくした。
    ただ、来年3月の娘の高校卒業式までには出所し、
    娘の卒業をみたいと願っている。

    彼が出所したら会おうと思っている。

  • 実は・・・実話⑤

    福岡県内でサッカーの名門校に
    サッカー部員として在籍していたA君、
    高校卒業後、地元の国立大学に進学した。

    教職免許を取得するため、
    女子高に教育実習にいったものの
    「教員は向かない」と悟り、
    どういうわけか、
    大学在学中にデリヘルの
    風俗店経営を始めた。

    経営は軌道に乗り、
    本人曰く
    「女の子にサービスの手ほどきを
    教えているのが楽しかった」

    女の子の入店時には
    年齢確認を行っていた。
    18歳以上であることが要件となっていた。
    しかし、時に、免許証など偽造してくる子がいる。
    A君は偽造に気付かず、
    18歳未満の女の子を雇ってしまった。

    このことが警察にばれ、
    Aくんは児童福祉法違反の容疑で逮捕、
    5年の実刑を受けた。
    これがA君の初犯だった。
    おくられた刑務所は
    いじめで有名な川越少年刑務所。
    食事を取り上げられるシャリアゲは日常茶飯事。
    A君は散々な目にあって出所した。

    出所後、A君はフランスにわたり、
    外人部隊に入隊した。
    そこでフランスへの永住権を取得、
    また年金を得る権利も取得した。

    帰国後、A君は9年間は再犯なく過ごしたが
    また、躓いた。
    2刑、実刑である。

    さらに出所後、仕事もなく
    ネットで他人の口座にハッキング、
    それが発覚し、3刑目、1年半の実刑で
    石川県の金沢刑務所に送致された。

    A君曰く、
    「もう3犯もなると、
    生きたくもないし、死にたいけど
    死ねないから、生きている、という感じ」
    「刑務所いても、みんな
    次はどうやってうまく(犯罪を)やれるか、
    ということしか考えてない」

    刑務所が犯罪者養成所になってしまっているのだ。

    A君自身は本来、まじめなのだが、
    もう人生をあきらめきっていた。
    前科3犯なのでもう何をやっても無駄だと。
    また、幼少時、父親からDVを受けていたらしく、
    本人も自覚していたが、
    精神的にも病んでいた。

    A君には再三、
    福岡に戻ってきたら?
    と勧めたが、
    地元福岡に戻る気はないらしい。

    知的水準も高く、
    ハッキングもできるので
    その才能をいい方向に活用し、
    セキュリティー関連をやらせれば
    まず、間違いなく、できる能力はあるだろうに・・・

    A君、刑務所に入るたびに
    「反省」はしただろう。
    しかし、「反省」だけでは
    あまり意味がないのである。

    大事なことは、
    罪の病巣となっている
    自分の病んだ部分を直視し、
    そこに深く入り込んで、
    その部分の治癒と回復、
    そして再生への内的プロセスを経ることが
    「立ち直り」の起点なのである。

    A君は自身も認めているように
    精神的に病んだままだ。

    おそらく、A君は
    罪の負のスパイラルから抜け出せないでいる。
    それゆえ、人に対して攻撃的となる。
    自分の不満を他人にぶつけたいのだ。
    しかし、それでも心は満たされず、
    さらなる負のスパイラルに絡み取られる。

    罪の負のスパイラル。
    そこからどう救われるのか。

    A君に限らず、
    このことが罪ある人にとっての
    最大のテーマである。

    ただ、負のスパイラルから抜け出すには
    まずは、自身が「罪から救われたい」と
    願うことが出発点である。

    「罪の赦し」と「罪からの救い」

    A君が福岡に戻り、
    連絡さえしてくれれば・・・・。

    少なくとも私は
    彼さえその気になれば、
    人生の再起は可能だと思っているし
    たぶん、微力ながら、力になれるだろう。

  • 再生の起点はどこか・・・・

    ワイルドは罪の人であった。
    故によく罪の本質を知ったのである。
    ~「善の研究」(西田幾多郎)~

    ワイルドの作品は「サロメ」しか読んでない。
    「サロメ」は聖書の中の
    イエスに洗礼を授けた預言者ヨハネが
    首をはねられ、
    殺されるエピソードをモチーフにしている。
    濃密なまでの罪の世界。
    むせかえるほどの血と死の匂い。
    サロメのヨハネへの倒錯した愛。
    これほどまでの人間の罪の世界を
    ダイナミックに描ききった
    ワイルドの圧倒的な筆力、そして知力。

    ワイルドは美しい妻をもちながらも
    若い男性との男色に耽った罪で投獄された。

    罪の本質。
    それは人間の根源に通じるものだ。

    元受刑者の社会復帰を支援している
    NPO法人マザーハウスのお手伝いをしている中、
    元受刑者の人たちを工事現場まで
    送っていったことがある。
    墨田区から渋谷区まで、
    40分間ほどの間、
    車中、そのなかの一人
    30代後半のMさんと語り合った。

    Mさんは3年の刑期を終えて出所し、
    現在は定職にはついていないが、
    日々の日当で生計をたてていた。

    Mさんとの対話は
    芸術、文化、歴史、宗教と
    多岐にわたった。

    圧倒的な深み。
    まだ30代のMさんには
    深い思索に基づいた言葉が発せられた。

    Mさんは
    受刑中、どうして自分が罪を犯したか、
    それを自身の生い立ちから、
    これまでの生き方を含め、
    様々な角度から自分を見つめなおしたそうだ。

    自身の内部にひそむ病巣。
    それを取り除いてこそ、
    罪から救われる。

    Mさんはそう考え、
    自身の罪につながる
    本質的な部分からの
    自己改善にとりくんだ。
    そこには様々な思考が組み合わされている。
    宗教、文化、哲学など。
    罪を知る、ということは
    人間の根源的な本質を見つめることでもあるのだ。

    元受刑者が社会復帰する際に
    求められることは
    反省や矯正では決してない。
    ましてや杓子定規なモラル観を
    おしつけたところで陳腐なだけだ。
    再生のための重要なプロセスは、
    自分自身の本質に深く沈降し、
    そこから罪につながる病巣を自覚し、
    あるいは除去し、
    そこから再度浮上していくことなのだ。
    その内的プロセスこそ、
    再生のためのコアである。

    元受刑者に「反省」や「矯正」を求めることは
    基本、的外れである。
    自己の病巣に、罪の本質にどれだけ向き合い、
    そこから、どう浮上するのか。
    そこが起点なのである。

    そのためのメソッドと理論構築こそ
    これから求められることだ。
    ケースを積み重ね、
    理論を構築する。

    そうすることで
    新たな社会的価値を創りだすことができよう。
    と、同時にそれは決して元受刑者のみに通じるものではなく、
    罪からの救いという点において
    広く、一般的に認められるべき価値でもあるはずだ。

    罪。
    それは決して法的な罪のみを指すものではない。
    誰しもが年齢を積み重ねるほど、
    過去の自分にひそむ罪を感じるはずだ。

  • 実は・・・・実話③

    夫婦でバイク店を営んでいたAさん。
    経理についてはある会計事務所の職員Bに
    すべて任せていた。
    すると、とんでもないことが発覚した。
    その職員Bが3千万円ほど
    Aさんのお店の経理をごまかし
    横領していたのだ。

    おどろいたAさん。
    Bを問い詰めた。
    するとさらに余罪が発覚。
    他のクライアントからも
    総額1億円の被害があったのだ。

    Bは会計事務所を退職したが
    被害者はBに返済を求めた。
    窮地に立たされたBは
    「フィリピンで自殺するから
    オレに生命保険をかけておいてくれ」
    と言い残し、フィリピンに旅立った。

    Aさんを含め、
    被害者はBに生命保険をかけて
    受取人になった。

    ところがB、
    フィリピンで自殺できず、
    帰国した。
    そしてAV専門のビデオレンタル事業を始めた。
    それが大当たり、大儲けした。

    被害者たちは返済を求めたが、
    Bは返済を渋った。

    そこでAさんは
    「ではAVレンタルビジネスを教えろ」と
    Bからビジネスノウハウを学び、
    自身で事業を始めた。
    これで、3千万の損失をカバーしようと考えた。

    事業は順調にスタートした。
    チラシを周辺地域にまき、
    顧客も増えてきた。

    ところが、チラシをみたヤクザが
    Aさんに迫ってきた。
    「オレたちのシマでなにやってんだ」
    ということである。
    困ったAさんはビジネスノウハウをもつ
    Bを紹介することにした。

    ヤクザ2人(兄弟だったらしい)を車に乗せ
    AさんはBのいる事務所へ案内した。
    Aさんは車で待機し、
    ヤクザふたりがBと交渉し終え
    帰ってくるのを待った。

    しばらくしてやくざ二人が帰ってきた。
    ところが、二人の服は血で染まっていた。
    「Bを殺してきた」
    「はっ???」
    驚いたAさん、すぐさま車を発進し、
    離れたところまでやくざ二人を移送し、
    そこで降ろした。

    しばらくして
    ヤクザふたりは逮捕された。
    ところが、このふたり
    おそらく、口裏を合わせていたのだろう、
    警察の取り調べでとんでもない供述をし始めた。

    「Aさんから1千万円をもらって
    Bの殺人を依頼された」と。

    当時のAさんに1千万円の大金はもちあわせていなかった。
    しかし、状況証拠はそろっていた。
    3千万円の横領による損失。
    Bさんにかけていた生命保険。
    動機は十分、しかもヤクザには殺す動機は見当たらない。
    さらにやくざ二人の供述は完璧に符号が一致していた。

    Aさんは殺人の主犯として起訴され、
    懲役14年の刑を言い渡された。

    控訴を考えたものの、
    控訴するには
    量刑不当か新たな証拠が見つかるしかない。

    Aさんには新たな証拠を見出せるほどの余裕はなく、控訴をあきらめた。

    Aさんは14年の刑に服した。

  • 実は・・・実話②

    福岡県内に住む小学校教諭のA子さん。
    年齢は30歳を過ぎ、結婚を意識し始めた。
    たまたま知人の誘いで合コンがあり、
    誘いに乗って、参加した。

    合コンは盛り上がり、
    泥酔したA子さん、
    フラフラになり
    その後の記憶はない。

    さて、翌朝、起きてみると、
    A子さんラブホテルとおぼしき
    見知らぬベッドの上で
    全裸のままになっていた。

    「レイプされた」
    A子さんは直感的にそう思い、
    すぐに、病院に行って体液を取り出し、
    DNAデータをとって警察に被害届を提出した。

    その数日後、
    A子さんはあるイケメンB君と
    付き合うことになった。
    B君は実業団バスケットボールチームへの入団が
    予定されている長身のイケメン。
    入団前の当時、
    バル風の居酒屋でアルバイトしていた。

    とにかくモテた。
    B君目当ての女性客も多かった。
    料理はうまいし、
    長身でイケメン。
    これでモテないはずがない

    A子さんもゾッコン。
    実はA子さん、小学校教諭でありながら、
    趣味は競馬、
    それも本格的で
    30代でありながら
    資産は1000万円を超えていた。
    まだ収入がままならないB君に
    車などを買い与えた。
    そして二人は婚約した。

    ただ、B君の生い立ちは
    決して恵まれたものではなかった。
    幼いころ、両親を交通事故で亡くし、
    祖父母から育てられた。
    ただ、この祖父母がすさまじかった。
    子どもに手をあげるのは
    親のしつけと考えるのが当たり前の世代。
    B君は小さいころから、
    今でいうDVにさらされていた。
    暴力が日常化していたのである。

    そのB君、ある日、お店の男性客と口論となった。
    B君はその日は収めたものの
    気分はおさまらない。
    数日後、たまたまその男性を町中で見つけ
    追跡、男性のアパートに乱入、
    ゴルフクラブで滅多打ちにした。

    B君は実業団バスケットボールチーム入りを直前にして、
    傷害容疑で逮捕。
    B君は取り調べを受け、指紋、DNAデータなどを採取された。
    すると、とんでもない余罪が発覚したのだ。
    A子さんの体内から採取された体液のDNAと
    B君のDNAが一致したのである。

    真相はこうである。
    泥酔したA子さんをB君はちゃっかりお持ち帰りしてしまったのだ。
    そして翌日、B君は仕事があったため
    A子さんを置いてきぼりにして
    そのまま立ち去ったのだ。

    B君は傷害罪のほか、強姦罪でも起訴された。

    驚いたのはA子さん。
    婚約までしたB君が
    なんと自分をレイプした犯人として起訴されたのである。
    A子さんは被害届を取り消そうとしたが
    時すでに遅し、A君は起訴されてしまっていた。

    弁護側はB君の情状証人として
    A子さんを裁判所に要求。
    容疑者の情状証人として
    被害者が証言台に立つという前代未聞の
    証人要請を裁判所は却下。

    結局、B君は懲役10年の実刑を宣告された。

    A子さんはB君の面会に訪れ、
    涙ながらに別れを告げた。