Aさんとの対話は続く・・

「雑居房に移ってからはどうでしたか?」

「雑居房は私を含めて6人でした。同居人は刑務官から『ゆるいやつがくる』といわれていたようで、『ちょっとしめたろか』と思っていたそうです」

「いじめられたんですか?」

「いえ、それはありませんでしたが、ひとりだけちょっかいだしてくる妙なやつがいましたね」

「もともとそこの同居人は初犯の軽犯罪系の人ばかりだったので、元郵便局員とか、一部上場の会社社員だった人だったり、社会では普通の仕事をしていた人が大半でした」

「じゃあ、比較的まともな人ばっかりだったんですね」

「そうですね」

「ただ、当初は人との距離感がつかめず、間が取れない感じだったんです」

「へえ、そうなんですか?」

「はい、何しろ6か月間弁護士以外の人と話をしてませんし、弁護士とも週1回程度でしたので、人と話すのは久しぶり、という状態でしたから、『この人はなにを言っているのだろう』という感じなんです。人の話がピンとこないんですよ」

「コミュニケーション能力が落ちてしまったということ?」

「はい、そうですね。もともと人との付き合いがうまい方ではないんですが、さらに、わからなくなってしまっているという感じです」

「それでは、困りますね」

「ええ、でもその部屋の同居人はみんな初犯で、お互い励ましあうというメンタリティがあったので、それなりに過ごしやすかったですね」

「そういうものなんですか?」

「はい、みんな裁判を控えて不安な日々を過ごしてますし、1日中一緒ですから、お互いの人間性もわかってくるんです」

「家族でも1日中一緒にいることはありませんし、そういう意味では妙に情が移ってしまうんですよね」

「生活はどうでしたか?」

「まあ、お菓子も購入できますし、書籍類も購入できましたから、不自由ではありますが、それなりに楽しみもありました。ほかの人は将棋に夢中になってましたね」

「将棋はやったんですか?」

「いえ、私は弱かったので、しませんでしたし、大体、WEBの勉強か資格取得のための勉強に集中してました。」

「まじめですね」

「同居人からはそういうイメージがあったようで出所後も連絡があって、再会しましたね」

「裁判の方はどうだったんですか」

「裁判は紛糾しました。ポイントは私が暴力団組長を詐欺の共謀を図ったかどうかという点ですが、それはなかったんです。しかし、刑事と検事のしつこい質問と担当検事の『お願いだからさあ』という感じの態度で、迎合したんですけど、その供述を裁判でひっくり返したものですから、まあ、検察側はあせったようですね」

「そこらあたりの話はまた次回にいたします」

To be continued・・・

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