出欠のごまかしはA君主導で組織的に行われた。
それでA君自身は何も得るものはなく、
結局、実刑判決を受けてしまうのだが、
つまり、出欠のごまかしが必要なのは
生徒が生活給付金を得るためであり、
出席率8割以上という要件を満たすためだったのである。
本来、生徒の出欠管理は教室責任者の業務であり、
A君がかかわることもなかったのだが、
講師の講義録や生徒の受講感想などの各種書類の整合性を保つためにはA君の協力なしにはできなかった。
そうした出欠のごまかしが日常化する中で、
嬉野校の教室運営に疑問を持った
国の監察が抜き打ちで行われた。
何しろ、嬉野校は1階に位置していたため
教師の内部は外から丸見えだったのである。
出席率は全員8割以上との報告に対して
外から見れば、
教室内部は5~7人しかいないという状況。
書類はごまかせても、実態はごまかしようがない。
A君はつくづく教室責任者Yの間抜けさかげんを恨んだ。
教室閉校後、2年後にA君は詐欺容疑で逮捕された。
佐賀市内であるバルーン大会開催日の前日であった。
そして、逮捕された刑事からA君は驚くべき事実を聞かされる。
「Aさん、久留米のMという男は〇〇会(久留米を本拠地とする暴力団)の二次団体の組長ですよ」
A君自身は嬉野に住む知人から「久留米の地元の有力者」として紹介されていたため、そういう事実は全く知らなかった。
そして、やくざがらみの事件であることが、さらに事を複雑にしていったのである。
A君の受難はここからさらに深刻化する。
to be continued・・・・