「裁判はどうだったんですか?」
「まずは検察側の冒頭陳述がありまして、それから、証拠調べの請求があります」
「緊張しましたか?」
「それはそうですよ」
「ただ、裁判長が女性だったのには驚きました」
「へ~っ、そうだったんですか」
「えぇ、〇〇法子さんという裁判長で、私はノリピーといってました」
「ノリピー、ですか・・・」
「それが眼鏡が似合う知的美人でして・・・」
「裁判の場でしょうに!」
「ええ、でも久しぶりに女性を見たもので・・
しかも黒の法衣に眼鏡がよく似合う女性でして・・・」
「不謹慎きわまりない・・・」
「まともに裁判長の顔をみれませんでした」
「それはどうして」
「いや、ニヤケテしまいそうで・・」
「それは印象悪くするでしょうね」
「それで、裁判ではあなたは出欠をごまかしたことは認めたんでしょう?」
「はい、それは認めました。」
「では暴力団組長との詐欺の共謀については?」
「実際には三傘とのあったのは1回きりでして、その場ではそういう話はなかったんですが・・・法的には共謀したことは認めました」
「えっ?だって三傘とは共謀の話はなかったんでしょう?」
「はい、そうなんですが、私は嬉野の末尾、久留米の早河とは最初からいとしていたわけではありませんでしたが、結局、出欠をごまかすことは共謀しましたし、彼ら二人はおそらく三傘と段取りを組んでいたはずですので、私が直接三傘と共謀しなくても、末尾、早河が三傘と共謀していたのであれば、間接的ではあるにせよ、私は三傘と共謀したことになるんです」
「えっ??そうなんですか?」
「はい、直接共謀はなくても間接的であるにせよ法的には共謀したことになります」
「う~ん・・・なんか不条理な話ですね」
「まあ、そうですが仕方ありません。ただ、私が開校前に認めていたのは遅刻や早退は大目に見るというくらいでしたので、まさか欠席をごまかす羽目になるとは思ってもいなかったんです」
「それがメールで『遅刻や早退は大目に見るが欠席のごまかしは糊塗できない』と送っていたことが証拠として提出されていました」
「そういうメールが残っていたことは不幸中の幸いですね」
「えぇ、ただ裁判ではやはり警察、検察の取り調べの実態がどうだったのかが、争点のひとつとなったのです」
「どうして?」
「私が裁判でひっくり返した供述がとられてしまった背景には何があったのか?ということがやはり裁判での検証すべき大きな争点となったのです」
「これは一般の人にはなかなかわからないことですが、やはり、取調室の密室の中では、恣意的に供述が捜査機関によって誘導され、ねつ造に近い供述がとられることの危険性があることを示すものでもあるからです」
「まあ、その辺のことはまた次回にお話を伺いましょう」
to be continued・・・・