「乱れ髪」より①

【大人の恋歌】
~「乱れ髪」より①~

やは肌の あつき血汐に ふれも見で
  さびしからずや 道を説く君
  (与謝野晶子)

なんて艶っぽい恋歌。
与謝野晶子が情熱の歌人といわれる所以も
まさしくこういう歌を堂々と詠んで公表したところにある。
ストレートな恋愛感情と性愛の賛美。

与謝野晶子の真骨頂ともいえる歌。


「古今和歌集」より①

君がため 春の野に出でて 若菜摘む
  わが衣手(ころもて)に 雪は降りつつ(光孝天皇)

この歌は古今和歌集の中でも春歌に属してます。
とはいえ、恋歌といってもいいような歌。
百人一首にもある歌で、百人一首の中でも
この歌が好きな人も多い。
光孝天皇は源氏物語の
光源氏のモデルとなったともいわれる人らしい。
時の帝からこのような歌を贈られた女性は幸せだろう。

大人の男のダンディズムを感じさせる歌。


歌集「たとへば君」より①

【大人の恋歌】
~歌集「たとへば君」より①~
たとへば君 ガサッと落ち葉すくふやうに
  私をさらつて行ってはくれぬか (河野裕子)

「たとへば君」は河野裕子さんと永田和宏さんとが出会ってから、結婚し、

河野さんが乳がんで逝去するまでの40年間にわたる恋歌をまとめた歌集。
31文字の中に込められた相手への想いが
優しく、切なく、きらめくように輝く。
40年間、愛する人へ紡ぎ続けた愛の言葉の織物。
その繊細で柔らかな、
それでいて鮮烈なこの歌集は感動的であり、
読む人の胸を打つ。