~秋の空~
見上げれば
秋色染まる 空のスクリーン
映し出される 時のうつろひ
秋ほど、時の移ろいを
感じさせる季節はないと思う。
紅く染まる樹木。
オレンジとブルーの
見事な空のグラデーション。
そうした繊細な色合いの変化は
時のうつろいを
映し出しているようにもみえる。
だからこそ、
人は晩秋にこれまでの自分を、
そして、自分が歩んだ時の移り変わりを
見つめなおすのだろう。
他愛ない日々に
言葉を添えたかった。
かつて、1日、人と話せない日が
6か月続いたことがあった。
愛する人に「愛している」といえるだけでも人は幸福なのだ。
気障だと思われようが、
それが真実だ。
日々はいつしか過ぎていく。
だから、
そうした他愛ない日々への
愛情を言葉で表現したかった。
それが恋歌だと思う。
妻に、子どもたちに、
かつて愛した人に、
幼なじみに、
本当はもっと親しくなれたはずなのに
なぜか、そうはなれなかった人たちに・・
愛していると、と。
どれほどの言葉を駆使しようとも
伝えたいことはそれだけだ。
他愛ない日々に
香りのある言葉を添えよう。
愛する人に
恋歌を贈ろう。
紅茶にシナモンの甘い香りを添えるように。

【大人の恋歌】
~メモランダム~
記憶の数珠がほどけたら
きらめくほどに 君の想い出 メモランダム